「サピエンス全史」を読みながら、変わっていく自分自身に気づいた

  • 2018.06.18
「サピエンス全史」を読みながら、変わっていく自分自身に気づいた

我々が当たり前のように信じている国家や国民、企業や法律、さらには人権や平等といった考えまでもが虚構であり、虚構こそが見知らぬ人同士が協力することを可能にしたのだ。
やがて人類は農耕を始めたが、農業革命は狩猟採集社会よりも苛酷な生活を人類に強いた、史上最大の詐欺だった。
そして歴史は統一へと向かう。その原動力の一つが、究極の虚構であり、最も効率的な相互信頼の制度である貨幣だった。

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

 

ユヴァル・ノア・ハラリさんの「サピエンス全史」の上下巻を通読しました。とても興味深く、衝撃的な内容でした。

人間(ホモ・サピエンス)の始まりから文明の発達、現代、そして未来に至るまで、自分たちが作り出した「虚構」を中心に人間(ホモ・サピエンス)を考察されています。虚構とはなんなのか、私自身、著者・ハラリさんが提議される虚構を虚構だと認識しておりませんでした
だから最初はすこし難解に感じ、中盤にはぐっと引き込まれ、終盤ではハラリさんの次回作をネットで検索していましたし、文化や人類学、はては世界の仕組み・カラクリというものへ興味が湧き、周辺書籍なるものを読みたいという衝動が溢れていました。

そんな問題作的名著がユヴァル・ノア・ハラリさんの「サピエンス全史」です。

 

本の記事へのスタンス

本を斜め読みしてもらうためのまとめではありません。だから内容のすべてをお伝えはしていません。そして書評でもありません。本は一期一会なので人やタイミングにより感じ方は様々です。

紹介する本から私自身が得たものを共有していますので、本の内容の内容だけではないのでご注意を。

本や映画には「薬になるもの」、「毒になるもの」、「毒にも薬にもならないもの」があります。その全てが人生に欠かせないものです。薬も強いものは劇薬になりますし、敢えて毒を飲むことで耐性をつけることも出来ます。毒にも薬にもならない本で心を落ち着けることも時には必要です。

本から一滴のエッセンスを絞って、あなたの読むきっかけになればと嬉しいです。

 

 

一滴:世界は自己発生・分裂・増殖するフィクション

サピエンス全史で通して書かれていることは、私達が生きている世界、信じているもの、作り出すもの、ほぼすべてのものがフィクションであるということです。

そして、それらが人間を操っているかのように発生し、分裂し、増殖する。このことを様々な事象を切り口として、話を展開させていきます。この論点自体が私にとって新鮮で驚きでした。

人間が作って編み出したと教えられてきたものが、人間自身を操っているとすると、「私達は何者なのか」という疑問さえ浮かんできます。しかし、これに対する答えをくれませんし、この疑問を解き明かしてもくれない。
おそらく、著者自身が出す答えすらフィクションであり、また世界は秒で変化していくため、私は正解は常に先にあるものだと感じました。

 

読んでいると自分の変化を感じる

サピエンス全史は上下巻でトータル500ページを超えますので、あまり読書をしない人にとっては少し敷居の高い作品かもしれません。
また内容も少しだけ難しく、ごくごく基礎レベルで構わないけど世界史の知識がない人は、ページを進めていくことが出来ないかもしれませんね。今はスマホやネットがありますので、調べながらでも読み進めてみて欲しい。

なぜかというと、ページを進めていくと自分の中に変化を感じるからです。それは小さな変化ではありません。あまりにも大きな強い変化。

最初はとてもワクワク

序盤は猿人、ホモ・エレクトス、ネアンデルタール人、ホモ・サピエンスが、大きな獣がいる古代の地球でどのようにサバイバルしてきたか、痛快に書かれています。非常におもしろい。くわしい歴史なんて分からなくても、文字を追っていくだけで私達のDNAが追体験させてくれます
2ページ毎に新たな気付きがあり、5ページ毎に驚きがあり、10ページ毎に人に話したい欲求にからる。

常にパラダイムシフトに近い大きな命題をドンと与えられるので、ワクワクがとまりません。

その後、狩猟採集社会から農業革命の話に進み、最初に引用した文書にもあるように、「農業革命は人類史上、最大の詐欺だ」と著者のハラリさんは言います。ここでもワクワクは止まりませんが、徐々に心に訴えかけてくるものの質が変わってきました。

日本人である私達は農業に尊さを感じているところがありませんか?
おそらく、それはお米の一粒一粒に神様が宿っているという古くからの宗教的な教えや、白米を残すなという教育、また現実問題として農家のなり手がいないこと、跡継ぎ問題を耳にして、「農業は大変。そんな農業をしてくれてありがとう。」と感謝までしているフシがあります。

そんな日本人の私が「農業革命は詐欺だ」と言われると、その字面だけで、読むスピードを落として少し慎重になりました。

おそらくこの感情が、私の中にあるものがフィクションであることに気付かされた瞬間だったのかもしれません。

中盤で不安と共に引き込まれる

そんな気持ちのまま、世界の様々なことをフィクションだと指摘され続けます。
農業革命で稲や麦が人間を使って自己増殖していく様子、帝国、科学、資本、お金、すべてが人間が作り出してきたフィクション。そしてフィクションは単体ではなく、それぞれが絡みあって世界は構築されている、と。

なぜそんなことが出来たのか、なぜそんな世界になったのか。

この源泉は「人間は他者へ物語を共有することができた」ということです。

猿人も出来なかった、ホモ・エレクトスも出来なかった、ネアンデルタールも出来なかった。だから滅びたということでしょうか。
ホモ・サピエンスである、私達人間はそれが出来る。確証がなくても、実績すらなくても、信用できてしまう。これこそがフィクションを構築し、地球の覇者となり、今なお繁栄し続けている理由。

私は読みながら愕然としていました。世界を構築しているものが、まさにフィクションだと言われると不安のようなものが心に残りました。最後まで読む原動力はこの不安だったことに、読み終わってから気づきます。

終盤で自分を通して世界の幸福を見ることに

最終章に近づくにつれて、著者は今まさに構築されているフィクションを提議していきます。

あまり書きすぎないようにしますが、私は読み進めていくうちに、このように考えてました。

「スマホやネットもフィクションの最たるものだし。国家もフィクション。グローバリズムという言葉すらただのフィクション。ナショナリズム・右翼左翼はもっと下位概念のフィクションで。仮想通貨、ブロックチェーン、分散台帳はフィクションでしか成り立たない。愛すらフィクション。雇用契約もフィクションか。ん、私が日本人であることすらフィクションじゃないか。待て、フィクションじゃない事実(ファクト)なんて、存在するのか。私は何者で。どこに向かっているのか。」

色々な事実だと思っていた事実(ファクト)が妄想で、捨てられないようにさせられているフィクションじゃないか、このままでは骨抜きにされ続けるぞ、と。

著者のハラリさんは本の最後に幸福とは・・・今後の世界は・・・という所で締められています。是非、読んで体験してみてください。

最後まで読み終わった時に、「なぜ、ホモ・サピエンスは農業革命というフィクション、詐欺に遭ったのか」という疑問が湧き、もう一周したい欲求に駆られています。

基礎レベルの世界史をもう少し学んで再トライを予定しています。再トライの時は1章毎に、考察していく予定です。

 

まとめ

世界が統一に向かうグローバル化の波を日々感じていませんか。日本人ならではの考え方も大事ですが、地球人としてという考え方をしている人が増えたような気がします。それはスマホで簡単にネット、SNSで世界と繋がれるようになったことは大きい。
根底にあるものはフィクションであり、それは人が他者を信用できるという、人ならではの力かもしれません。
世界が平和になり、一つになった時にあるフィクションはなにか。それは今あるものではなく、明日、そのまた明日にあるものなんでしょうね。それを見てみたいです。

 

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